龍勢の製造
龍勢の製造は、山に這い入り松や竹を伐採することから始まります。それを2年以上も乾燥させ水分を飛ばして、軽量化した部材を作ります。乾燥の経過で割れなどが生じることもあり、予備用としていくつかの部材の確保も必要となります。祭りは毎年のことなので、数年先の祭りのことに想いを馳せて、適した松材を探したり伐採したりと、機会ある毎に山に入り龍勢作りの準備に余念がありません。
祭りの日が近づくと、各流派ごとに松材をくり抜き、竹のタガをかけて火薬筒を作ります。
また、硝石、炭、硫黄を混ぜてから水分を与えて(しとり)シットリとした黒色火薬を作ります。
これを火薬筒に少し入れてはカケヤを使って堅く詰め、何回も繰り返しながら徐々に層を重ね、カチカチに固めた黒色火薬に仕上げます。
火薬が詰まり終えると、底に錐で穴をもみ、噴射口を空けます。詰めた火薬の中心部にも錐で穴をもみ、燃焼抗を作ります。これは打ち上げ時に火が入った際、先ずはこの燃焼抗の周囲の火薬から燃え始め、徐々に外周へと燃え広がることにより、龍勢が上昇する推進力になります。
龍勢が上がるかどうかの主な決め手は、空洞が無いように火薬を固く詰める技術と、噴射口・燃焼抗の空け方によるところが大きく影響します。
祭り前日、火薬庫に保管していた火薬筒に、青竹(矢柄)、背負い物(落下傘や煙火等)の取付けを行い、龍勢を仕上げます。
各流派とも秘伝と独自の工夫をこらし、検討を重ね、構想から約一年間の歳月と共に、真心を込めて製作を終了します。
最後に安全対策がなされているかどうか、龍勢保存会の検査員が多くのチェックポイントを検分し、検査に合格すると作業は終了です。
明日の打ち上げまで30本の龍勢を寄り添わせて並べ、前日の夜は徹夜で警備を行いながら、晴れの夜明けを迎えます。
龍勢の打ち上げ
龍勢の打上げには、神社から300mほど離れた山ぎわに丸太を組んだ、高さ25mほどの櫓を使用します。
打上げの順番はあらかじめ定められており、番がくると奉納者の若連は、揃いのハッピ姿で龍勢をかつぎながら打上げ櫓まで運びます。火薬の取扱いが規制される以前には各耕地(集落)からかついで、神社まで運び、境内中を激しく勇壮にもんだといいます。
やがて櫓にすえられた龍勢の火薬筒の下部の口火に導火線を結び、地上まで延ばすなどの作業がすむと「東西、東西〜、ここに掛け置く龍の次第は・…」と奉納者の声自慢が、独特の節回しの「龍勢口上」を述べます。
合図の太鼓が間を置いて打たれ、見物人の目はいっせいに打ち上げ櫓に注がれます。
ついに導火線に火が入り、かたずを呑んで見守るうちに、白煙が龍勢をつつんだかとおもうと、ごう音とともに火を吹き一瞬にして空高く舞い上るのです。昇りつめた瞬間落下傘が開きふわりと矢柄を吊り下げれば成功です。矢柄に仕掛けられた紅煙が流れ、色火が点滅します。
しかし、すべてこのようにうまく上るわけでもなく、中には火を吹くだけで上らないもの(いずくまり)や、筒がはねてしまうもの(つつっぱね)等、不成功に終るものもあり、棟梁の力量が試されます。
いつでも観られる龍勢祭り「道の駅 龍勢会館」のご案内
道の駅龍勢会館は「龍勢まつり」の臨場感をそのままに、いつでも祭りの感動に出会えます。
実物の龍勢の展示をはじめ、150インチ大型スクリーンによる祭りの映画や、
発射の瞬間を音と光で再現する実物大のやぐら、龍勢製造工程の写真、
各流派の紹介、世界の龍勢などを展示。
開館時間:AM9時〜PM5時(受付4:30まで)
休館日:火曜日(祝祭日は開館 翌日休館)
入場料:大人300円(高校生以上)
小人150円(小・中学生)
幼児(未就学)無料
団体割引:20名様以上、お一人様50円引
お問い合わせ : TEL 0494-77-0333
〒369-1501 埼玉県秩父市吉田久長32